オリュンポス

オリュンポス 上

オリュンポス 上

オリュンポス 下

オリュンポス 下

通称シモンズ版「光の王」。各パートで作り上げてきたキャラを後半で一気に絡ませあう手腕からあの伏線未回収っぷりまで含めて実にシモンズらしい作品である。ハイペリオン・シリーズにならぶ傑作であり、同時に続きを書けといいたくなる作品。
ハイペリオン・シリーズでも見られたようにイリアムで丁寧に作り上げた世界観を、オリュンポスでは半ば壊しながら止まることなく話を展開させていく。登場人物が不死化したり、超人化したりといった荒唐無稽な話を纏め上げるのはやはり筆力の成せる技。
シモンズのテーマといえる暴力についても、キャリバニやヴォイニックスによる古典人類の抹殺などによって描かれているが、やはり、最も強調されるべきは人間の精神的苦痛を喰らうセテボスであるといえるだろう。このように人類を弄び、生きる存在は「殺戮のチェスゲーム」のマインド・ヴァンパイアなどで登場し、こういった意味でも実にシモンズらしい作品。

そういえば,モラヴェックについて一言
これってどう考えても「電脳生物たち」を書いたハンス・モラヴェックが元ネタだろうね.