忌憶
- 作者: 小林泰三
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/03
- メディア: 文庫
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量子力学だったり、脳=コンピュータだったり、小林作品に頻出するモチーフで溢れていたせいか、いつものSFとホラーの結び付けが弱かったと思う。
今回の作品はホラー描写以上に「奇憶」の主人公直人の転落していく有様が悪意を込めて書かれていて、内臓も汁も出てこないのに、一番小林泰三らしく面白い作品だった。でも、笑えない。
この作品の印象が強かったため、直人の友人や恋人が出てくる後の二作品はおまけという感じ。強いていうなら、小林作品にまともな人を期待してはいけない。