[SF][レビュー][ほん]

両親を殺された少年の復讐譚と言ってしまうと簡単なんだが、やはり、本書のキモは気球世界という設定。宇宙に浮かぶ風船の中に、輝く幾多の太陽と浮かぶ島々。太陽の照らす僅かな領域に住む人々、飛び交う戦艦、冬空間にそびえる氷晶。それらの世界歓を少年の成長と共に丁寧に描き、スチームパンクスペースオペラという無茶をやらかした珍しい作品である。技術コンサルタントである著者が綿密に設定した世界を科学的にいろいろと検討してもいいんだが、気にしないでこの世界観にどっぷりはまった方がいいだろう。最後にジブリっぽいとか思ったら負けだ。