シンギュラリティ・スカイ (ハヤカワ文庫SF)

シンギュラリティ・スカイ (ハヤカワ文庫SF)

シンギュラリティ・スカイ (ハヤカワ文庫SF)

科学技術を禁じている新共和国の惑星が、情報と引き替えに様々なものを与える異星人の来訪により混乱に陥り、その打開のために主人公達が暗躍する。
この小説では、シンギュラリティ、いわば科学技術の発達による相転移の結果、金や政府、特に独裁国家は無力なものになるとされ、今回の舞台となる新共和国もシンギュラリティに取り残された国として描かれている。このシンギュラリティの捉え方はプログラマーでもあった作者の考えが表れていると考えられる。
主人公達が美男美女で、新共和国の人間が間抜けや陰険な人間ばかりという設定はスパイ小説そのもので、そのノリで楽しむものだろう。
しかし、背景になっているAIエシャトンの存在についての描写が少なく、設定を生かし切れていないように感じる。