ダン・シモンズ

SF、ホラー、サスペンスと多ジャンルに渡って作品を書き続ける作家というのがシモンズの本質だろう。SFにおけるシモンズの代表作である「ハイペリオン」はまさにそのジャンルを超えて書き続けてきた経験を注ぎ込んだからこそ、SFにとどまらないマルチジャンルな魅力を持った作品になったといえる。
ホラー作家として認知されることが多いシモンズであるが、これはホラーでデビューしたこと以上に、暴力を描こうとする姿勢のためだろう。暴力を否定する立場から描かれているとはいえ、その描写ははっきり言ってえぐい。ハイペリオンにも残虐描写が溢れており、また、長編デビュー作の「カーリーの歌 (ハヤカワ文庫NV―モダンホラー・セレクション)」は本当に救いようのない話である。
ハイペリオン」四部作以外のシモンズの作品として、ホラーから二点あげておく。

  1. ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)」四部作
  2. 殺戮のチェスゲーム〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
  3. 黄泉の川が逆流する (「夜更けのエントロピー (奇想コレクション)」収録)