燦めく闇

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燦めく闇

井上雅彦の小説の特徴を挙げるなら、ひとつはレトロというか、懐かしいというか、今ではもはや過去のものになったと思っていた怪奇小説やホラー映画の異形を描き出す、オマージュに満ちた作風。もうひとつは主人公は恐怖の体験者であると同時に恐怖の担い手であるいうことだろう。この短編集はその井上雅彦のふたつの面が見事に現れたものとなっている。
個人的には、シリアスな雰囲気の作品よりも、怪人や怪物達への愛にあふれた、B級テイストの作品の方が好きなので、印象に残っているのは「舞踏会、西へ」、「十月の映画館」、「化身遊戯」、「北へ深夜特急」といったところ。
特に「北へ深夜特急」は、あるSF作品が元になっているので、早いうちに読んでおくことをお勧めする。

異形コレクションはほとんど読んでいないので、今度図書館ででも。